Report

実習報告

実施日:2022年10月15日(土)、16日(日)
主催:アースサイエンスウィーク・ジャパン実行委員会
共催:甲斐黄金村・湯之奥金山博物館
場所:山梨県身延町
講師:小俣珠乃(アースサイエンスウィーク・ジャパン実行委員会)、小松美鈴(甲斐黄金村湯之奥金山博物館)

今回の実習は、山梨県身延町にある湯之奥金山を中心に行いました。
多くの参加者が家族単位での申し込みであり前日宿泊者も多かったことから、希望者向け前日オプション企画も実施しました。

オプション実習1:
南部フォッサマグナ地形観察

フォッサマグナは日本列島の東北側と西南側の地質学的境界にあたります。フォッサマグナの西端は糸魚川―静岡構造線という断層が谷地形を作っており、南アルプスと天守山地の間を流れる富士川の景色として見ることができます。このダイナミックな眺望は身延山頂から見ることができます。

オプション実習2:
星空観察

都市部に比べて星空がよく見えるので、希望者向けに星空観察も実施しました。 まずはカシオペヤ座を手掛かりに北極星を探し、北の方角を確認しました。そのあと、夏の大三角形(こと座ベガ、わし座アルタイル、白鳥座デネブ)などの星座を探し、天体望遠鏡では惑星(木星、土星)観察を行いました。

湯之奥金山遺跡見学

戦国時代に稼働していた湯之奥金山遺跡まで片道約2時間かけて標高600m差の山道を歩きました。標高約1,400メートルの毛無山山腹には人工的な平地が広がり、当時は多くの人が住む村が形成されていたことがわかります。遺跡のあちこちには苔むした石が積まれた跡が残り、石窯や建物の土台跡、金鉱石の精錬で使用された鉱山臼が残されていました。

河川敷岩石、砂観察

湯之奥金山遺跡を流れる沢の下流にあたる下部川河川敷で岩石および砂の観察を行いました。この場所では、火山活動に伴ってできた岩石が多く、その中でも緑がかったグリーンタフと呼ばれる岩石が河川敷で見られました。グリーンタフは東北地方日本海側から山梨にかけて特徴的にみられる火山岩や凝灰岩です。これらは深海底の火山活動に伴って噴出して岩石となり、岩石中の鉱物が海水と反応することによって、緑色の鉱物に変成したものです。他にも深成岩やグリーンタフではない火山岩や堆積岩なども観察することができました。

鉱物観察

実体顕微鏡を使って、実習場所で椀かけした砂の鉱物観察を行いました。

謝辞
本実習は東京応化財団の令和4年度助成金を受けて実施しました。
フォッサマグナ地形のドローン撮影にあたっては身延山久遠寺奥之院思親閣から、湯之奥金山遺跡登山林道使用については山梨県峡南林務環境事務所のご許可をいただきました。
他にも関係各所の皆様からご協力いただき、事故なく無事に実習を終えることができました。誠にありがとうございました。

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